今、ロンドンに居る。そして、暴動に巻き込まれている。…とはいえ、実際に暴力の現場を見ている、というわけではなく、単純にロンドンに滞在し、その騒動を体感しているだけなのではあるが。
現在わかっている、一連の流れとしてはこうである。
若い黒人ギャングのボスが警官に射殺された。
警察は向こうが先に銃で撃って来たため、と自己防衛の線で発表。確かに銃で撃たれてはいた。しかし、実際に出て来たのは警官自身が所有する銃の弾だった、ということである。…これは憶測なのだが、「奪われて撃たれた」という線も無くはない。だが、その状況が疑わしいが故に暴動に発展した。
さて、である。
少し面白い現象が起きている。(はなはだ不謹慎ではあるが)
ロンドンは基本的に二百言語以上が話されている、人種のるつぼである。その状況は様々な場所に反映され、例えばムスリム系のモスクなどはそのコミュニティを駆使しての防衛線を貼っている。(警察が後手後手であり、対応しきれていない、といえばその通りだ)そのため、それぞれの人種の特性などが顕著に現れて面白い。日本人は基本的に傍観だ。中国人はコミュニティでのプロテクトを張っている。ブルーカラーは徒党を組み自警団を設立。反撃こそしないものの、自己財産を守る為の防衛を行おうとしている。(そのため車に突っ込まれて三人死んだ、などという記事がある)まるで、一つの都市で行われている、小型戦争のようだ。
現在暴れているのは基本的にニートと呼ばれる若者達と同時に各人種の若者達である。ニートと言っても、日本とは異なり元祖ニートは正直恐ろしい。どちらかといえば池袋ウエストゲートパークに出てくるようなカラーギャングのイメージに近い。彼らはマリファナを吸い、酒を飲み、暴れる。この国ではマリファナは容易く手に入る。それこそ20ポンドも出せば、問題なく手に入る。また、警察もマリファナ自体を咎めはしない。流石に数回同じ警官にバレればまずいかもしれないが、しかし、別段問題は無い。情報化社会が発達していることを逆手にとり、ツイッターやフェイスブックで繋がり、同時多発的に暴動を起こす。また、実際に顔をつきあわせてのコミュニケーションをとり、計画を練る(実際に私自身もその現場に出くわした)。暴動に参加する人間は、若者のみとは限らない。暴動に参加する人間は幅広い。幅広い恐らく下は八歳から上には恐らく四十歳ほどまで。八歳の子供がお酒を奪い、そして街へと駆け抜けていく。そのような状況だから警察も手を甘くせざるをえない。十歳前後の子供に全力で暴力を振るえる人間は多くは無い。
幸いなのは彼らは昼間はひっそりと身を潜め、夕方から夜にかけて暴れ始める(ただし、日照時間が非常に長く、日本の夏の夕方の時間帯くらいの明るさが九時頃まで続く)ということだ。そのため通勤時間や通常の営業時間などに基本的には支障はなく、早じまいする店はありながらも、経済活動が行われている。
奇妙な感覚。
そこに革命の思想を持つ者は少なく、暴れたいから、暴れる。奪いたいから、奪う。欲望に忠実。秩序立って、無秩序。達すべき理想も無く、叶えたい願いは略奪のみ。そこに未来は存在しない。あくまで未来のための闘いではなく、破滅させるだけの存在。
時間が解決するのを待つのみである。全ての物事において、確定する物事など存在はしないが、今夜のロンドンも、きっとパトカーの音が鳴り止まない。それだけは確定しそうである。
…こんな風に書くと、ロンドン全土がまるで戦時下のようであるが、ロンドン全体的には概ね平穏である。上でも記したが、昼間は安全、危ないのは夕方から夜にかけてである。観光に支障はなく、はじめから危険だとわかっている地域を除いては(電車のエリア、Zone2より外。もちろん場所に寄っては危なく無いが、離れておく事にこした事はない。ロンドンは中央がzone1。外に離れていくごとにzone numberが重ねられていく。zone2,zone3といった感じに)そこまで気にする必要も無い。
だから、とても奇妙な感覚なのだ

